「挑む力 世界一を獲った富士通の流儀」を読んだ

 

挑む力 世界一を獲った富士通の流儀

挑む力 世界一を獲った富士通の流儀

 

 こういったものは多少デフォルメされて書かれるものである.その事に注意して,気持ち控えめな感じで読んだけど,それでも結果が凄いことには変わり様がない.スーパーコンピュータ京やらくらくホン電子カルテといった様々なプロジェクトの開発秘話が語られているが,そのどれをとってもプロジェクトXの題材となり得るような密度がある.8つものプロジェクトについて語られているので,個々のプロジェクトの記述に使われるスペースは必ずしも十分とは言えない.それでもその少ないスペースから,開発者の思いや,プロジェクトの困難さが伝わってくる.

一番の注目はやはり京の開発だろう.本書の注目の半分以上は京だといっても過言ではないと思う.それだけスーパーコンピュータ世界一の称号は凄いものだ.本書で次のように語られる開発者の予見は間違ってないだろう.

2010年末,ぎりぎりのスケジュールで作業を続ける関係者に「6ペタではなく8ペタ超えを目指す」ことが周知された

(中略)

僕には開発の本当の苦しさがわからないからかもしれないですが,納得ができなかったんです.やっぱり,世界一のタイトルにこだわりたい.スパコンの性能は,当然,今後も上がっていくので,記録はいつか破られるのですが,世界一のタイトルは,2007年から続いているプロジェクトの,大きなマイルストーンとなる.しかし,6月にとれなければ今後10年は穫れないに違いない.タイトルが獲れれば,必ず次に繋がると思いました.