: 問題のない私たち(2004年)

問題のない私たち RAX-502 [DVD]

問題のない私たち RAX-502 [DVD]

 久しぶりに良い映画を見た.
 主人公の澪はクラスのリーダー的存在でクラスメートのマリアをいじめていた.しかし,転校生の麻綺にリーダーの座を奪われ,逆にいじめられる立場になってしまう.精神的に追い詰められ,自殺を図るまで追い込まれるがかつていじめていたマリアに助けられることになる.澪にいじめられていたはずのマリアに救われたことにより,澪は今まで自分がしてきた事を悔い改める.
 その後澪に対するいじめは他の生徒に移ることになるが,いじめられる側いじめる側両方の経験をした澪はいじめの主犯である麻綺とそれに呼応したクラスメート全員に対し怒りをぶつけ,そのいじめの連鎖にNOを突きつける.

 この映画からは短絡的で横暴だった頃から,自分で物事を考え,何が良くて何が悪いのかを見極め,行動するといった子供から大人になるまでの澪の成長の過程を見ることが出来る.この映画で澪はいきなり問題を解決したり正義に目覚めたりするいわゆるヒーローではない,だがそこが素晴らしい.
 いじめの対象が主犯格に対する麻綺に移った時,澪は直接的に麻綺を救うことはしなかったがこう言った.「麻綺,あんたのことは嫌いだ.けど一番嫌いなのは自分で物事を考えずいじめるあんたたちだ(クラスメート),後はあんたたちで好きにやりな,私は抜けるわ」.実に大人な対応だと思う.この瞬間彼女は自分で物事を判断し,主張し,行動することができるようになったのだと思う.この行動はよくある物語の主人公のような奇跡的な行動ではない,僕達それぞれがそれぞれの場面でできるような,いわば手が届く範囲の行動だ.視聴者は澪を通して同じ立場の時に自分も同じ行動を立てるのだろうか,という疑問を抱きながら物語を見ることが出来る.

 以上は映画の前半部分のストーリーだが,後半部分も波乱に飛んでて,はらはらしながら見ることが出来る.原作は3部構成のようで,第3部は描かれてないようなのでそこが惜しい.
登場人物全員の性格がうまく物語に沿っていて,いきいきしているようでとても楽しめた.